『仕事で上司の指示が細かい』『仕事の裁量がない、自由がない』『もっと自分の強みを活かして働きたい』『日本人ってどうしてくだらないことに細かいんだろう、意味ない』って思ったことはありますか?
私は内資系、外資系それぞれで勤務し、外資系でUSの業務にも携わっている経験から日本とアメリカの仕事に対する考え方の違いを紹介したいと思います。
アメリカの会社ってフラットで自由!?
皆さんアメリカと聞いて何を想像されるでしょうか?自由の国であるアメリカ、「Hi, David」など上司のこともファーストネームで呼び、オープンマインドで会議ではディスカッションも活発
上下関係はあまりない。
、、、、ことはありません。しっかりとした上下関係があり、これは日本よりもよほど縦社会なのではないかと思うほどです。
日本の会社も沢山あり社風にもよるので一概には言えませんが、私が経験した外資系企業の日本支社内の方がフラットだったように思います。内資系企業もフラットというのとは少し違いましたが、直属の上司や先輩にかなり反対意見を述べている同僚などもいて、この辺は日本の方が自由度が高いのではないかというのが現時点での感想です。
例えば朝の6時でも今日の10時までに〇〇を送ってほしいみたいなチャットがきます。これ、日本企業でもあるあるかもしれませんが、私がいた日本支社だとこんなことするとチームから避難の嵐でした。休日にメールはやめて稼働日、稼働時間だけにしてください!プレッシャーになります!なども実際言われていました。でも、こちらだと普通に日曜日に上司の上司からの依頼で来週の早い時点でこれを出して、とか上司から連絡があります。(日本支社がだいぶ温室という可能性もありますが、、。笑)でも上司もその週休みなはずなのに、なんかあったら電話会議設定してくれたら相談乗るとも言ってくれて、ほんと皆さん上には従うのです。
これは多くの人が挙げているように、日本と異なり雇用に対して柔軟性が高い、つまり解雇がしやすいというのが一番の理由だと思います。
そのため、上司、または上司の上司の意向を日本以上に汲み取る雰囲気を感じます。
その上司との関係性にもよるのですが、例えばちょっとした些細なことでも上司がコメントするとそのフォローアップはしっかりやる人が多いように感じます。これ、日本だったら結構プッシュバックしちゃう系のことでもです。
まぁ些細でどっちでもいいことだったら、上司の意向に沿っといた方が無難ですよね。
そして、誰がDecision Makerなのかがとてもはっきりしているように思います。
前の記事で書きましたが、「納得感」はむしろアメリカの方がないんじゃないかなと私は思います。それは上司の言いなりということではなくて、そのことについて様々な側面から議論はするけれど、最終的に上司がDecision Makerなのでその承認は必ず必要です。もちろん、そこでは様々な交渉ややり取りもあると思います。ただ、私とチームの関係性がまだまだ十分ではないのか、はたまた陰口を言わないアメリカ人の習性なのか、日本で聞いていたような『上司が結局思うようにしてしまい、方向性に全然納得感がない』といったような話を耳にすることはありません。
ただし、大事なことはとっても縦社会だけれど、自分の意見は持っていなければならない。
縦社会だけれど、自分はどう思うか、どうしてそう思うのかという意見もなく、全て上に従うという姿勢は能力がないとみなされます。日本と違うのは、昔の日本では意見を持ってはいけないという雰囲気があったように思います。アメリカの場合は上の言うことにただ従うだけというのは能力がないとみなされるのではないかと思います。会議でディスカッションできるように、どういう意見で何故そう思うのかを自分として常に持っておく必要があります。
そしてディスカッションが活発な理由も少しわかってきました。
意見を持たないことが能力がないと思われることも理由として大きいのですが、私が感じているのは日本の外は本当に多様性にあふれているからです。いろんな民族がいろんな文化的背景を持っている中で、「当然」とか「一般的には」というもの日本よりずっと希薄なように思います。自分の考えや感覚が周囲と同じではないことの方が多いからこそ、きちんと自分の考えを述べておくことの必要性を感じます。
日本の察するという素晴らしい文化の功罪
一方で日本は単一民族国家であるがゆえ、相手を察する、みなまで言わない・言わせないという文化があります。
相手へのリスペクトや思いやりを感じる素晴らしい文化だと思います。相手への配慮というのは人間関係においてとても大事なものです。
『相手を察する』ことはとても素晴らしいと思うのですが、いきついた先に『察してよ!』という人の割合が他国と比べると高いんじゃないかと私は感じています。
日本でリーダーをしていた時に、チームの人たちから(私の部下ではない)こんなことをよく耳にしました。
- 俺たちも大変だって、もっと上司は分かるべきだ
- 上司は自分の気持ちを全然理解してくれない
- 上司が勝手に思うようにやっているから、業務への納得感が全然ない
- 私のキャリアについて上司は全然考えてくれてない
上司として部下の気持ちも含めた状態を理解し、能力を発揮しやすい環境に気を配ることや部下の育成が必要な業務であることはまず大前提です。
ただ、私が思うのはそのことを上司にきちんと伝えることなく「察してよ!」って思う人の割合が多いのではないかなということです。少なくとも私の周りはそうでした。
そして思うのが上司って「どうしてほしい」がないと結構困ると思うんです。
例えばアメリカで同じようなことを上司に伝えたとします。そしたら「そっか大変だね。それでどうしたらいい?」って言われると思うのです。冷たいと感じる人もいるかもしれませんが、上司は家族や友達、恋人ではないので共感を求められても困るのではないかと思います。日本は上司部下の関係がより家族的でもあり、その分依存性が高いようにも思います。もちろん気持ちを分かってほしいということも人としてわかります。気持ちを吐き出すなとも思いません。ただその時は気持ちを知ってほしいだけであることを伝え、そこに追加のアクションは何も期待しない方が自分が穏やかでいられると思います。
もちろん中には部下に長い時間をかけて寄り添って心を開いてもらってチームの一員として頑張ってもらうというやり方を実践している素晴らしいリーダーも沢山いらっしゃいます。そしてそういう姿勢は大事だとも思います。
ただ、部下側の視点ではもう少し仕事を割り切って考えてもいいんじゃないかなと私は思います。
それに気を配っていたとしても想像をしていたとしても、それを示す人示さない人がそれぞれいますし、上司だって部下が沢山いたら一人一人の細かい部分まで把握できないことがあると思うのです。だいたい上司だって、その上からのプレッシャーやら、家族のことやら、それどころではない時というのもあると思うのです。
そんな時に日本の「察する文化」を発揮するといいのではないかなと思います。
読んでいただきありがとうございました。
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